「夜愁」と「ミノタウロス」
- 作者: サラウォーターズ,Sarah Waters,中村有希
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2007/05
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- 作者: サラウォーターズ,Sarah Waters,中村有希
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- 作者: 佐藤亜紀
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/05/11
- メディア: 単行本
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- わりと立て続けに読んだ(間に半身を挟んだ)。
- それぞれに戦争をキーにした人間の話だが、同じ話?違う話? まあ全然違う話だけど。主要な登場人物はどちらに現れる者も強弱こそあれ、あらかたが鋭い光芒を放っている。人間のベースとは何かの両輪のように感じられる。
- ケイとヴァシリーを対比したくなる。ケイの救助隊活動とヴァシリーの遍歴。まあ普通比べないけど、佐藤亜紀読みならどうぞ。
- 佐藤亜紀には女が視点人物になってる話ってあったかな。サラ・ウォーターズの場合は、人がどうじゃなく出来事によって物語る感じで、佐藤亜紀の場合はどうしても人物を中心に渦が巻かれていく感じ。どちらの作家も話が面白いのは、人物と出来事が直接触れ合わないからで、凡百の作家にはこれができない。ウォーターズのほうが地味に上手い(茨の城までは別)と思うけれど、佐藤がいつもいつも強烈な人物を作りながらもそいつの手から出来事を引き剥がすあの豪腕というか執拗さというかは鈍器のような華やかさだなあ。
- あとどちらの作家も強烈に女の作家だというのを感じさせる点が面白い。執拗に外形的な描写を繰り返して、「これなにがおきてるの?」といっているよう。女・男と人間・動物の相関関係、微分した結果としてのピアの積み重ねがどんな式の姿をとるのかという構造の選択は多くの女の作家に共通しているとおもう。
- ただ「夜愁」という邦題をつけてしまう感性はいかがなものかと思う。