ジェイン・エア

  • そうですなんか過去読んだかどうだかよくわからない、なんか読み進めるごとに既視感を覚えつつ。しかし、典型バーストは案外強烈な印象を残した。こんな話だったかジェインエア。これも最近読み終えたチボー家の人々との同類項感、というか対しての先行性を感じつつの。五輪の薔薇と対比しては、ああ五輪の薔薇は全く現代の作品なんだなと思ったり。自分はあの本ではヘンリエッタの事しか殆ど考えないのだけど。
  • それと読みながらずっと思っていたのはライトノベルのこと。シャルロットは高々30歳でこれを書いているが、語りの座である作品中の現在視点にある確信の強さの単純明快さはある種のジュブナイルに通じるものを感じさせつつ、シンプルさに結実する確信の有限で底の知れただがそれなりに根拠としての豊かさを備えた有様は、ほとんどドラゴンボールなりジョジョの領域で、ああジャンプのエッセンスと同種の普遍性がある、優れたライトノベルの殆どもこれと比べると詮無い時々の徒花の係累に過ぎないと思わされる。また同時に若さの中の他愛なさの多くがライトノベルにあるのと同様に、若い作家の他愛なさがジェイン・エアにもあるとも思った。だがここでは30歳と言う若さの他愛なさで、その他愛なさの鮮烈な事よ。時代の違い分だけずれる、そのずれを絶妙な倍音の周波数と思う事も可能で同世代として共鳴できたりもする。
  • 普遍性の信用ならなさとしても読めるが、裏返してのガチの普遍性も感じさせられて眩んだ。さすがにこれは、不朽の名作だわ。中高生にこんな偏ったもん読ませちゃあかんとすら思う事も出来る。
  • あとオースンスコットカードwも髣髴とさせる。チンジャオは女だが、こっちでは男。計り知れないのか、単純なはったりなのか。それで時代性なのかカード。ここがめくらだから自分は楽しめるものが多いのだとも思う。計り知れない方が面白い。そこで正しく科学的手法の登場ですよ!なんて楽しい!
  • つうか、ディケンズ二都物語が、それこそジェインエアなんかと比べるに馬鹿馬鹿しく思われる事甚だしく、下巻の初めあたりから先、読み進める気になれないんですがこれ、最後まで読むうちにシャルロット萌えに匹敵するようななにか面白い事があるでしょうか。